患者視点医療と医薬マーケティング
お飾り言葉でない患者視点を追及していきます
ヘルスケア・メディカル産業の現状とアレルギー疾患におけるビジネス可能性
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当社の主サービス「アレルギーチェッカー」は食物アレルギーの方向けのサービスであり、
近く展開するサービスも食物アレルギーの方向けのサービスなのですが、
アレルギーとはまたニッチですね、等と言われる際、医療用医薬(病院で処方される薬)の
売上現況を例に説明させて頂くこともあります。
 

◆日本の場合の医療用医薬売上現況(2012上半期)
 
医家向製品  薬価ベース 前年比%
1 ブロプレス(高血圧症)  28,259   -7.7%
2 デイオバン(高血圧症)  26,727   -3.2%
3 アリセプト(アルツハイマー病)   25,847   -18.7%
4 プラビツクス(血栓症)   22,283   17.8%
5 リピト-ル(高脂血症)   20,107   -19.1%
6 タケプロン (胃・上部消化器)  20,008   2.4%
7 アレグラ(抗アレルギー薬)   19,794   -12.1%
8 レミケ-ド(関節リウマチ)   19,532   13.3%
9 モ-ラスヒサミツ(関節)   19,042   -4.3%
10 オルメテツクダイイチサンキヨウ   18,866   -5.2%
※前年比売上が落ちている薬は、パテント切れ等によるジェネリック品・競合品の
上市が大きな要因になっています。
 
トップ10に、高血圧、高脂血症、血栓症薬が占めるという、とても日本らしい状況ですが、
TOP3にアルツハイマー病薬、関節リウマチ薬もTOP8にランクインしています。
そしてTOP7に、抗アレルギー薬「アレグラ」も入っています。
 
高血圧、高脂血症、血栓症薬の患者規模からすると、アルツハイマー病、関節リウマチ、
医療用医薬処方のアレルギー患者さんの規模はさほど大きくない(であろうはずな)のに
なぜ?と思われるかもしれません。
 
薬の売上の場合、ざっくりと
患者数(処方人数)×薬価(単価)×処方数/日・週など×期間
となるわけですが、患者規模が何百万、何千万でなくても慢性疾患など処方期間が
長くなる病気、薬価が高い場合には、薬の売上はそれなりの規模になります。
 

◆アメリカの場合の医療用医薬売上現況(2012上半期)
 
医家向製品  薬価ベース
1 Plavix (血栓症) $1.62 billion in sales
2 Nexium (胃・上部消化器) $1.40 billion
3 Abilify (統合失調症) $1.34 billion
4 Singulair (気管支ぜんそく・アレルギー性鼻炎) $1.24 billion
5 Seroquel (抗精神病薬) $1.16 billion
6 Advair Diskus (気管支ぜんそく) $1.14 billion
7 Crestor (循環器) $1.12 billion
8 Cymbalta (うつ) $1.03 billion
9 atorvastatin (高脂血症) $0.95 billion
10 Humira (関節リウマチ) $0.93 billion
 
有病率は人種でそれほど大きく違いはなかったりするのですが、薬の売上ランキングが
日本とはまた違った状況であることがわかります(日本がアメリカ化する可能性は高いですが)。

その中でも、アレルギー性疾患である気管支ぜんそく(一部アレルギー反応に
起因しないタイプもあります)の薬が2つランクインをしています。
アメリカでの患者数は2006年時点で小児で約680万(9.3%)、成人で約1,610万(7.3%)。

薬の売上にも大きく影響する要因になりうるほかの要素として、緊急性・必要性が
高いかという点があります。
必要性は「アドヒアランス」という言葉でも表されますが、いま落ち着いた状態でも継続摂取することでよい
状態を維持し、コントロールすることが大事だという考え方です。
気管支ぜんそくは死に至る発作が起こりうる病気であり、発作時には苦痛を伴うものであり、
薬剤への緊急性・必要性が高い病気ですが、アドヒアランスが比較的悪い病気
(症状が治まると摂取中断してしまいがち)でもあります。
 
アメリカでの小児喘息患者の年間欠席日数は延べ一千万日にのぼり、それによって
失われた両親の社会的損失は十億ドル近くに達する、喘息の救急診療の受診に
5億1800万ドル、入院に27億ドルの医療費が費やされているとも言われています。
急激な悪化を防ぐうえで、患者さんの生命・QOLのためにも、社会課題の側面からも、
恒常的な薬剤コントロールが求められています。
また、患者さん、家族側においては、根本的な体質改善や予防の観点で生活対策に
注力する方が多くいらっしゃいますし、医療機関においても、薬剤治療の効果を高める
うえでも生活対策との両立が重要という考え方が一般的でもあります。
 
アレルギー性疾患においては、薬剤の売り上げ規模もそれなりにあり、(程度差はありますが)
継続的な治療、根本的な生活対策が求められている、伸び代がある領域でもあります。
 
そこに「食」は非常に親和性の高いものでもあります。食はアレルギー性疾患の要因
になりうるものでもあり、対策の余地がある部分でもあり、継続性があり、必要性があるものです。
 
ヘルスケア・メディカル領域においては、n数だけでない軸が大事でもあります。たとえば
糖尿病領域は潜在患者数を含めると大きな市場ですが、患者さん側や介護者に緊急性を
感じないと、対策を自分事として捉えにくい部分があります。
 
糖尿病患者さんのうち95%を占める後天性の2型糖尿病の場合、喜ばしくない生活習慣が
起因し発病するケースがほとんどですが、糖尿病はかなり進行をしないと痛みなど
感覚的に苦痛を伴う症状が出現しなかったり、もともと患者属性として、生活習慣意識に
甘い方が多いことからも、生活者向け対策サービスへの反応が今一つであることも多いかと思います。
 
複合的な要素を見ていくと、ビジネス性の感じ方が変わってくることと思います。
また別の機会にも、お話しさせて頂きます。

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