私は、もともと事業会社で、またコンサル会社で、マーケティング、
マーケティング・コミュニケーション分野で仕事をしてきており、現在もそこが基軸だ。
ただ、このマーケティング、マーケティング・コミュニケーションという言葉の定義は、
その会社事情に依存していたり、体系的に理解されている会社や担当者は
多くはないのが現状だ。
まず「マーケティング」についての多い誤認識としては、
・それは営業活動、営業戦略のことである
・販売促進のためのプロモーションのことである
・市場分析をすること、調査、統計のことである
といったところだろうか?
商品が出来上がった後、いかに売るかの視点、局所的な業務、施策に偏重している。
さてマーケティングの本家本元、アメリカでは、「事業体全体の最適化、構造化」
のことを指している。多くのマーケティング担当者のまずの仕事は、
Big Pictureを描くことからだ。
P.ドラッカーによれば「マーケティングの狙いは、顧客というものをよく知って理解し、
製品、サービスが顧客にぴったりと合って、営業・販促活動をしなくてもひとりでに
売れてしまうようにすること」と定義している。
現代ではさらに、多様で移り気なニーズにどう向き合うのか、次々と現れる競争相手
(もはや業種の垣根もない)を見越して、先回りも必要であるし、ニッチ市場など
現代の戦い方が必要になる。
具体的なマーケティング活動については、F.コトラーの著にある通り。
提供するのはただのモノではなく、価値そのものであり、
どんなイノベーションをもたらすか、だ。
本来、マーケティングは、一つの事業体、会社組織の中で、一気通貫する
役割を持っており、対外的にも連関する。BigPictureを深部まで理解共有
できていないと、それぞれの部門がバラバラにただ個人の目標値のために動いてしまう。
BigPictureがお粗末であったり、枝葉すぎると、連関する過程で異論が出たり、
後戻りするし、自分事化できない。
プロダクト・サービスの受け手など対外的にも、思い描く反響を得られない。
マーケティング・コミュニケーションは、そういった齟齬の発生を回避し、
埋めながら再構築するための活動だと思っている。
私個人は、経営者については私が述べるまでもないが、事業の統括責任者であれば
マーケティングとは日々の活動すべてのことであり、すべてのスタッフもその
プロダクト・サービスにとってのマーケティング、つまり理念、ビジョン、考え方、
ストーリーを理解するべきであり、それを考える側も、そのための共有の時間を
惜しむべきではないと思っている。
来月から執筆が冊子に連載されることになりました。
半年間の予定で、医療医薬分野における、
戦略的マーケティングからのMRの役割についてです。自分自身も楽しみです。